食べ物を無駄にするのは“もったいない”
食べ物を粗末にするのは、“もったいない”という意識の高い人が多い日本。子どもの頃に「もったいないお化けが出るよ」と、注意された方も多いかもしれません。
実は、世界的に「食品ロス」や「フードウエスト」の問題に注目が集まっているのはご存じでしょうか?
「食品ロス」や「フードウエスト」とは?
「食品ロス」とはまだ食べられるのに廃棄されてしまう食品を指し、英語圏では「フードウエスト(food waste)」や「フードロス(food loss)」と呼ばれることが一般的です。
国連のレポートによると、毎年世界で流通する食品の17%が無駄になっており、その内の約6割が一般家庭から排出されているのだそうです。日本の「食品ロス」は年間約600万トンで、これは飢餓に苦しむ人々に向けた食料援助量の約1.4倍に相当します。
家庭でこんなにたくさんの「食品ロス」が出ているなんて、驚きですよね。
どうして食べ物を無駄にしてはいけないの?
日本の1人当たりの「食品ロス」は、1日お茶碗1杯分といわれています。金額にすると、4人家族の世帯で年間6万円分になります。
これは単純に考えて“もったいない”のですが、「食品ロス」はさらに深刻な問題を内包しているのです。
農作物や家畜を生産する過程では、多くの温室効果ガスが発生します。農地の開拓による森林伐採や、家畜が排出するCO2は地球温暖化の要因とも言われています。
また、日本では少子化が問題視されていますが、世界的には逆に人口増加が問題視されており、これに伴う食糧不足も懸念されています。
欧米では一般の方がセミナーに参加したり、美術館等でフードウエストに焦点を当てた展示が行われたりと、一人一人が積極的に問題に向き合おうとしています。
「お茶碗1杯を無駄にしないことが世界を救う」なんて、ちょっぴり大袈裟に聞こえますが、一人一人の“もったいない”という気持ちが、実はとっても大切なのです。
それでは、具体的にどうすれば家庭の「食品ロス」を減らすことができるか、考えていきましょう。
家庭でできる「食品ロス」を減らす方法
食品を買いすぎない
お買い物リストを作る
お買い物に出かける前には必ず冷蔵庫の中をチェックして、お買い物リストを作りましょう。たとえば、「人参と玉ねぎがあるから、ジャガイモを買えばカレーを作れる」というように、具体的なレシピを考えながら作るのが◎です。
「安いから買う」をやめる
お買い物に出かけると目に付く特売品。とりあえず籠に入れてしまいがちですが、一呼吸置いて、本当に必要か考えてみましょう。
保存方法を工夫する
冷蔵庫や棚を整理整頓
どこに何が入っているのか把握できていないと、そのまま忘れて、賞味期限が切れたり傷んだりと廃棄が増えてしまいます。卵はここ、牛乳はここ、と出来るだけ定位置を決めておきましょう。また、時々冷蔵庫や食品棚の在庫チェックもできると良いですね。
食材によって保存方法を変える
適した方法で保存すると食材が長持ちするだけではなく、鮮度を保って美味しく食べることもできます。お肉や魚介類は0~4℃、野菜や果物は育った温度で保存するのが適当とされています。調味料や缶詰めなどは、パッケージに書いてある保存方法を守りましょう。冷凍庫も上手く活用できると良いですね。
残さず食べられる、美味しいお料理を
出来るだけ失敗しないように
毎日お料理していれば、目を離した隙に焦げてしまったり、好みの味に仕上がらなかったり、失敗することもありますよね。失敗は誰にでもあるので、次は気を付けるようにしましょう。
また、甘過ぎたらお酢を足してみる、焦げた部分を削ってみるなど、身体に害のない程度にリメイクするのも悪くないかもしれません。
余った食材を生かすレシピを検索
たとえば「トマト たまねぎ なす レシピ」のように、余った食材で検索すれば、家庭で簡単に作れる美味しいレシピが見つかることが多いですよね。
ここでも、様々な余りものに応用できそうな簡単レシピをいくつかご紹介していきます。
残り物野菜で作る「チキンサラダ冷奴」
残り物の野菜とお肉をみじん切りにして、お出汁と一緒にいただく冷奴です。残り物でいつもの冷奴が豪華になるなんて、嬉しいですよね。
セロリとベーコンと残り物野菜の具沢山クリームスープ
こちらも残った野菜を生かせる一品。様々なお野菜を一緒に煮込むので、自然な甘みが美味しいスープに。
絶対ほめられる『秘密のケーク・サレ』
お洒落なイメージのケーク・サレも、本場フランスの家庭では余った食材で作られることが多いそう。こちらはホットケーキミックスで作る失敗しにくいレシピなので、冷蔵庫の残り物を投入してみてはいかがでしょう?
おうちで簡単!みんな大好きライスバーガー
冷ご飯といえばチャーハンやリゾットに使うのが定番ですが、ライスバーガーという選択肢も。少しだけ残ったお肉がある時にもおすすめです。
食べきれない分はお裾分け
近所の方や知り合いに
作りすぎたお料理や余っている食材は、傷む前にお裾分けしましょう。タイミングが良ければ喜ばれることも多く、食品も無駄にならないので一石二鳥です。
フードバンクへ寄付
フードバンクとは余った食材を引き取って、支援が必要な人々に届けてくれる団体です。生ものの寄付は難しいですが、加工食品や乾物類なら寄付できそうですよね。「お住まいの地域名 フードバンク」と検索すると、近くの団体や寄付の方法を調べることができます。
食べ物を大切にして、ハッピーな未来を*
日本語の「いただきます」には、食材への感謝の意味も込められているのだそう。このような挨拶をする国は大変珍しいので、誇りに思うべきかもしれません。毎日食べられるということに感謝しながら、未来の人たちもハッピーな世の中を迎えられたら素敵ですよね。